経理の仕事にはどんなイメージを持っていますか?おそらく会社勤めをしたことがあるかたなら、営業が第一線で、経理は裏方というイメージが強いのではと思います。私が自営業の経理を手伝うようになって、安易に手伝うべきではなかったと後悔することになりました。
わが家は一人親方の自営業ですから、夫が外で力仕事をしてきてから、帰宅後に経理の仕事をするのは大変そうだと感じていました。そして浪費家の夫がお金を扱うことにも不安があったのも事実。そこで、出産を機に退職したので、夫の自営業を手伝い始めたのです。
自営業の経理を手伝ってみて、私の考え方は覆されました。この経理という仕事は、決して裏方ではなくてメインの仕事と同じぐらい重要だということが分かったからです。
経理をやらないと儲かっているかどうかは分からない
うちの夫は、「事務仕事」とまとめて呼びますが、わが家の場合「経理の仕事」は、見積書の発行・請求書の発行・確定申告用の帳簿付・お金の管理(集金と支払い)がメインです。
見積書の発行と請求書の発行は、実際に仕事をする夫がずっと担当しているので、私はノータッチ。私が担当したのは確定申告用の帳簿付けとお金の管理です。
夫は見積書と請求書を担当していますから、現場ごとにどれくらい利益が出るかどうかは分かっています。うちの夫はそういう点はシビアで、利益が上がらないような現場は断ってしまうことも多いのです(苦笑)。その点はなかなか頼りになるなぁと感心することも。
問題はその現場ごとの利益というのは重要なのですが、それ以外にも自営業を維持するためには経費がかかってくるということです。その現場用に取り寄せた部材以外にも、いつも常備しておく部材もあります。接待交際費もあるし、いろいろとコストはかかります。
うちの夫は通帳に残っているお金が利益だ!ぐらいにしか思っていないの。通帳の残高を確認して、月末の支払いが大丈夫かどうかはチェックします。でも、来月以降にどれくらい支払いがあるのかまでは頭が回らないのです。というか気にならないらしい。
帳簿付けをしたり、お金の管理をしていれば、いろいろと経費がかかるなぁと実感できます。妻の私が帳簿付けとお金の管理をやるようになったら、今まで計算しなくても夫が肌で感じていたお金に対する意識がどうも鈍ってきていると感じるようになりました。
妻がお金の管理をしたら、夫がお金に無頓着になった
私が一番困ったと感じたのは月末のお金のやりくりです。
私が経理を手伝い始めた頃は、「この現場は25日に振り込まれるから」とか、「コレが振り込まれたら、この外注費を支払っておいて」などと、私にアドバイスや指示を出してくれていたのです。
実はこの指示があったのは最初の半年だけでした。その後は私は努力をしないと夫から情報を聞き出せなくなってしまったのです。請求書を発行しているのは夫ですから、月末にいくらお金が集金になるかを分かっているのは夫です。
「最近は仕事の入り具合はどう?」などと、聞いてみたり。「今月は材料費の支払い額が多いけれど、それまでに集金になるお金はあるの?」と確認してみたり。
ハッキリ言って、「本当に面倒です。」
夫のほうは、疲れて帰ってきて、すぐにこんな質問をされると機嫌が悪くなることも。
これって、変だわ!って思い始めても、当時の私には夫とお金の話をするスキルがありませんでした。お金の話をするといつも夫婦バトルになってしまうのです。
私が経理をし始めてから、夫はおこづかい制になったので、自由にお金を使えなくなったことを不満に思っていたようです。そのこともあって、お金の話を冷静にするというのが本当に難しい状況になっていました。
私は夫の手伝いを気軽に始めてしまいました。チョット上から目線で「手伝ってあげている」というぐらいの気持ちです。
それなのに、いつの間にか夫に気を使いながら、仕事の入り具合を確認して、月末の支払いを必死でやりくりしているのです。私は月末のお金のやりくりに非常にストレスを感じるようになりました。
そして、やりくりは妻の責任になってしまっていることに疑問を覚えるようになったのです。
世の中の夫が節約ややりくりに興味が持てないのは
「夫が節約ややりくりに協力してくれない」という不満をよく聞きます。夫が会社員の場合、夫のお給料を妻がやりくりして、夫にお小遣いを渡しているパターンのが多いと思います。
やはり、夫はおこづかい制になると、家庭のお金のことに無頓着になってしまうようですね。会社員ならば妻がしっかりしていればお給料が必ずいただけますから何とかなります。
しかし、自営業の場合は、夫がお金に無頓着になってしまうと、生活が成り立たなくなります。妻が営業から経理まで何でもこなして、夫を従業員だと思えばやっていけるのですが、おそらくそこまでやろうと思う妻がいるのだろうか?という疑問が・・・(苦笑)。
妻には家事も子育てもありますし、出来れば自営業の仕事は夫ができるだけやってもらいたいですよね。
やはり、夫がお金のやりくりに興味を持つためには、夫が責任をもつ必要があるのだと実感したのです。妻が経理を手伝うのではなくて、夫が経理をしなければ、お金に責任を持つことは難しいと感じます。
自営業は結局は自己責任です
わが家の場合、夫が自分で始めた自営業ですから、世襲したわけではありません。夫が自分ではじめた以上、もうこれは自己責任だと思うのです。
誰かが月末の材料代を支払ってくれる。
誰かが生活費を捻出してくれる。
誰かが仕事を取ってきてくれる。
こんな風に思ってしまったら、自営業はやっていけません。
夫がやる気を持続できるように。
夫が責任を持ち続けられるように。
そうなれるように、自営業妻は安易に経理を手伝ってはならない!そう思うのです。